新温泉町
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第1回地域運営組織研究事業「地域が元気であり続けるために 今、私たちにできること」

 今後の地域コミュニティのあり方を考える機会として、町内の区長・町内会長ほか役員を対象に、6月29日、浜坂多目的集会施設において「第1回地域運営組織研究事業」を開催しました。講師に、兵庫県地域再生アドバイザーの浅見雅之さんを迎え、「地域が元気であり続けるために 今、私たちにできること」をテーマに講演いただきました。今回は、この講演会の概要を掲載します。

◆事業の趣旨◆
 人口減少、少子高齢化等により、町の様々な分野で担い手不足が深刻化し、地域の暮らしを相互に支える集落機能の維持が困難になってきました。加えて、民間サービスの減少、今後需要が増すであろう生活支援サービス、高齢者の見守り、空き家、里山の管理など、様々な地域課題が取り巻く中、一つの集落でそれらを全て補っていくのは難しい時代になってきています。
 このような中、各集落の存在を前提としつつ、より広い範囲で組織する「地域運営組織」のネットワークの中で「地域住民が主体となって地域経営を考えていく」取組が注目を集めています。この事業は本町における今後の地域運営について考える機会として本年度2回実施します。

高齢化率が高くても地域が元気であればいいんじゃないですか
 皆さん「限界集落」は聞いたことありますよね。この定義が最近ちょっと誤解されているので説明しておきます。
 集落全体の高齢化率(65 歳以上人口の比率)が50%を超えている。これをもって限界集落という人が多いいんですが、実はこれだけで限界集落とは呼びません。少子高齢化や人口減少などで、集落活動が維持できなくなってきた地域を限界集落と呼びます。集落活動とは、草刈、クリーン作戦、神社のお世話、盆踊りとか地域の祭りなどです。だから、みなさんの集落は、まだ神社のお世話ができていればたとえ 50 %を超えていても限界集落ではありません。
 田舎ではお年寄りが働いています。都会のお年寄りは働くところがあまりないんです。日本では就労人口は15歳から64歳としているけど、新温泉町ではそんなことはありません。80歳になっても田や畑で元気に働いています。人口が減ったって、高齢化率が高くっても、元気にやっている地域はたくさんあります。
 あちこちの地域にお邪魔すると、「うちの村は高齢化率が高いのが問題だ」「65歳以上人口比率が50%以上で限界集落なんですよ」と言われるのをよく聞きます。でも、おっしゃっている方の年齢を聞くと70歳過ぎなんです。「じゃあ、あなたの存在は問題なのですか、65歳以上の方の存在は問題なのですか?」と聞くと、「とんでもない、私の存在は問題ないです」と答える。ですので、自分のことを問題だと言うのはやめましょう。うちの地区は高齢化率が高いから問題なんだというのはやめましょう。高齢化率なんて高くって いいんです。みんながにこにこ仲良く暮らしていければ、人口減も高齢化率も実はあまり関係ないんじゃないかという風に僕は思っています。

考えるべきは、人口が減ることを前提とした地域づくり
 2100年に予想される日本人口は6400万人という推計が出ています。そんな先の予想なんかあてにならないと思った人いますか。ただ、それはちょっと間違いな話で人口予測は最も正確な予測値と言われています。なんでかというと、日本のような社会で、外国からたくさん人が流入するとか、流出するとかない国では、来年20歳になる人が突然増えることはありえません。なぜなら、来年20歳になる方は今年19歳だからです。20 年後に20歳になる子は、今年生まれた子ですね。だから、かなり正確に人口は予測することができます。なので、人口は当分の間増えません。そんな状況で、新温泉町だけ人口が増えるということは考えにくい。
 例えば、若い子どもたちが結婚して子どもを産めば何とかなると思った人はいますか?でも、子どもを産める人が減っているんです。
 どこかから新温泉町に移住してもらったら、人口は増えると思った人はいませんか?でも、増える人たちをどこから呼んでくるんですか、隣町ですか?都会ですか?海外ですか?でも、自分の地域が増えればよその地域は減っちゃいます。よその地域が減っても自分の地域が増えれば幸せというのは、地域振興のモデルとしてはあまり正しくない。
 どうにも出口がないようにみえます。でもそんなことはないんです。大事なのは、発想の転換。私たちが今考えるべきなのは、人口が減ることを前提とした地域づくりの考え方だと、僕は思います。今まで、人口が増えたら幸せになると思ってきた。この発想を捨ててください。人口が減ると、不幸せになるという発想もできるだけ捨てましょう。人口が減っても幸せになるという社会を作り上げなくてはいけないんじゃないでしょうか?そんなことありえないと思う方もいらっしゃると思いますが、良く考えてください。人口が減るのは明らかですね。日本全国人口が減り続けます。新温泉町も、その波にのまれ続けています。 減ったら不幸と思っている限り地 域は幸せになれません。ここを抜け出す以外に方法は無いんじゃないかと僕は思います。
 これまで日本は人口が減ったことが一度もないので、人口が増え続けると経済が発展し続けるという「右肩上がりモデル」が成立し、みんなそれを信じてきた。でも、人口は減るんです。だとしたら、人口増を根拠とした経済発展はありえないということです。右肩上がりモデルでは、今後到来する社会の問題は解決できません。残念ですが明らかです。

まちづくりは、地域の困りごとを長期にわたる自分たちの取組で解決しようとすること
 まちづくりと言って、皆さんイメージするのは何でしょうか。例えば、道路や橋を造る、住宅地を造って人を増やすといったこともまちづくりです。また、大地震が起こったら地域が協力し合ってお互い助け合いましょう。困っているお年寄りを助けに行きましょう。病院に行くのに車が無い人を乗っけていくのもまちづくり。子どもたちを見守り育てる、地域活動への参加者が少ない問題をどうにかしたい、地域を活性化したい、というのもまちづくり、つまり、地域の困りごとを長期にわたる自分たちの取組で解決しようとする活動すべてをまちづくりだと考えます。
 「自助・共助・公助」の考えがあります。公助は行政が公的に助けてくれる。共助というのは、地域のみんなで何とかする。自助というのは自分一人で何とかする。例えば大災害が起きたときに、非常用持ち出し袋を持って逃げるとかいうのは、自分がやってもらわないと困りますね。災害時の仮設住宅だとか避難所の運営とかは役所がやるしかない。だけど、みんなが助け合って炊き出しするとか、避難所で集まってルールをつくって、例えばごみをどうしようかとかは共助の部分。
 僕が思うまちづくりの範囲というのは公助と自助の間のみんなで何とかしようという部分。地域の課題、問題点を地域のみんなで何とかする。たぶんそれがまちづく りの原点なんだろうと思います。さらには、地域の将来の姿を自分たちで描いて自分たちで作り上げることだと考えます。もちろん行政の手助けが無いとできないことはたくさんあります。それが公助の部分。公共も民間も関係なくて対話を重ね知恵を出し合って協力し合う。これが参画と協働の本質だと考えます。

協働社会は行政に預けていた地域運営を返してもらうこと
 変化が激しい社会と言いました。人口が減ると、役所も今の大きさのまま10年後20年後あるとは思えません。職員も予算も減っていきます。役所の仕事は全体の最適を目指すものです。個別の地域のことはできるだけ地域で解決していただきたいという時代が迫ってきています。当然、課題解決に頑張っている地域は全力で応援します。みたいなことがこれからの行政の立場かもしれません。こんなことを言うと「行政は本来の仕事を地域に丸投げするのか」と怒る人もいます。確かにそんな気になります。でも、よく考えてください。そもそも私たちは行政の人たちに地域運営を預けてきただけです。みんなで税金を出し合って役場の建物を建てて、町長以下役場の職員を雇って公共のためになる仕事をさせている。皆さんは、社長や株主みたいなもんですよ。これが行政の本質ですよね。
 つまり、協働社会というのは、行政による住民への仕事の丸投げじゃなくて、行政が預かっていた仕事を住民に返す話。丸投げではなく返却です。地域のことを地域で考えて地域で実行する。それが地域のためには必須なことです

地域を見つめ直すことがまちづくりの第一歩です
 自分たちの地域の課題を自分たちで解決すると簡単に言いましたが、一体どうしたらいいのでしょうか。
 まず第一に、現状を確認することです。課題や問題点を明らかにしなければいけません。使える資源を明らかにしなければいけません。どんなタレントがいてどんな特産品があって、何が課題となっているかを徹底的に洗い出す。
 第二に、その課題は地域のみんなで解決できるかどうか考えなくてはいけない。役所に任せるのか、みんなで取り組むのか、自分で何とかするものなのか。自助なのか共助なのか公助なのかを考えるなか、特に共助の部分を考えてみてください。どうやったら課題解決できるかみんなでアイデアを出すわけです。それは、役所任せではなく自分たちで何をするかを考え、その中でアイデアを絞り込んで実現できそうなものを選び、選んだアイデアの実現の方法をよく考えて実行してみる。失敗したら次のことを考えればよい。とりあえずなんかやってみる。
 現状を確認して、課題かどうかを検討して、アイデアを出して、それを検証しながら絞り込みを行って実現のための方法を検討して取り組んでみる。これがうまくいかなかったら、第一にもどる。これを繰り返すしかないと僕は思っています。

人が少なくなっても自分たちの地域で幸せに暮らしていくために、地域運営組織という考え方があります
 ここから地域運営組織の話です。
 地域運営が難しくなってきていますよね。区長さんのなり手がいない地区は無いですか。なり手が いないからわしが長年やってますという人はいませんか?地域の祭 りがしんどくなってきたり、草刈りや神社のお世話に手が回らなくなってきたなど、色んな問題が生じていますよね。そんな状態で、共助だとか、地域の活性化だとか いわれても、正直気持ちがついていきませんよね。人が少なくなっても自分たちの地域で幸せに暮らしていくために、地域運営組織という考え方があるということを理解してください。
 地域運営組織とは、これまでの行政区とか町内会とか、婦人会、老人会、子ども会、消防団、スポーツクラブとか、いろんな組織や団体を束ねて、だいたい小学校区単位くらいで、共同で地域課題の解決にあたるといった組織です。国も推奨していて全国で広まってきています。
 こんな話をすると自治会の合併かと思う人もいるかもしれませんが、そういうことではありません。
 これまでの行政区はそのままに地域団体同士が助け合って暮らしていけるための組織づくりをしていこうということです。やり方はいろいろありますし、組織形態は地域の実情に合わせて考えていただいたら結構です。
 これまでの自治会と役割がどう違うかという話を少しだけします。これまでの自治組織は、地域の代表を中心にピラミッド型の組織で、だいたい世帯単位で参加してきました。地域運営組織というのはいろんな団体が入ってくるので割と多様になります。少しフラットな体制です。リーダー像としては、持ち回りで決まるとか、一人の人が頑張って引っ張っていくといったこともあるけど、地域運営組織では、複数の分野別リーダーを作って、そこに部会を設けて、得意分野で活躍できそうな人が集まり、プロジェクトごとに自主的に運営していくといった感じです。これまで区の運営に外部の人が入ってくるのはめったにないけど、地域運営組織では、分野によれば外部の人でも、都会の人でも参加して活動ができます。自治会で商売するとこなんてあまりないですね。でも、地域運営組織では、空いた小学校を改築して事業を起こすとか、公共施設の指定管理を受託するとか、イベントをするとか、割と自由にお金儲けもしても良い。

地域の実情に応じた運営について考えてみましょう
 要は、いままでの自治区だけではしんどい部分をみんなで集まることによって工夫や解決できるやり方はないのか。ついでにみんなでお金儲けもできないか。人を雇 用したりできたらいいんじゃないか。というものです。
 他の市町村の例では、地域包括交付金みたいなものを一つの小学校区に交付するやり方もあります。これは、これまで自治会ごとに、役場に申請して個別に交付金をもらっていたものを、1年間に地域全体に係る経費を地域運営組織に預けて運営してもらう。例えば、地域の中の人を一人くらい雇うお金を行政から交付してもらい、その人が事務局として、この小学校区ぐらいの地域運営組織の範囲のことをずっと考えてもらう。この地域の役に立とうという人に給料を払っていこうということです。そうすると、区長や役員さんが今までしんどいと感じていた仕事を少しくらい軽くできるかもしれない。大量の配りものや、まちづくりの寄り合い、町への申請や調整会議なんかもやってもらう。そんなこともできるわけです。
 しかし、こういった組織をすぐに設立するのは難しいです。今後は、まず地域運営組織とはどんなものなのかを勉強していきたいと思います。各区が協力し合って一 つの組織を作って、事務局を置いて、そこで地域を運営していく。 決して区や町内会をなくすとかそ ういうことではありません。各地域の実情に応じればいいし、もちろん取り組む取り組まないも含めて、可能性を考えていったらいいんじゃないかなと思っています。もしかしたら新温泉町でもそういった組織づくりが必要なのかもしれない。
 今年度、この研究事業で、あと1回集まって勉強します。今日は、なんとなく事業の全体像を皆さんに知っていただきました。次はもう少し具体的に地域運営組織ってどんなのかなといったことを、勉強したいと思います。

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