善住寺は、長保元年(999)2月覚増上人行脚のおり、熊野三山に似ているところから、ここに開山したという霊刹である。この如来像は桧の一木造りの坐像で、前面に組み合わせた手指は、親指が横に出向いている中品の形となっている。高さ76.5cm、素朴な彫りは地方仏師の作か室町初期と推定されている。その他、脇立仏として西国三十三体観音、薬師如来二天王も祀られている。阿弥陀堂は応永33年(1426)建てられ、その後補修をみているが但馬屈指の古い建物である。4.5mの三面回廊をめぐらし、組み物など室町初期の手法が見られる。特に内陣天井壁画の仏画十六羅漢は彩色豊かな巧妙な筆法で稀有のものと評されている。かつて七堂伽藍が建ち並び、十三の末寺を従え、別当職として多くの神社を支配した住時の面影を、これらの遺物と境内にそびえる数本の古木がわずかにしのばせてくれる。