新温泉町諸寄港は、江戸時代から北前船の風待ち・潮待ち港として栄え、海産物や諸寄砥石などが船積みされるとともに、人や物が行き交い、全国の多くの文化が混流し、諸寄地域をはじめ周辺地域の人々や文化に大きな影響を与えた。そのため諸寄地区内には、北前船に関する史跡や航路図などが数多く残されている。
為世永神社は、航海安全と商売繁盛を祈願した北前船の船主や船乗りたちの信仰や崇拝の深い神社で、境内の石造物群は明治17年(1884)から18年(1885)にかけて境内改修工事に合わせて、地元をはじめ全国の船主から寄付を募って建設されたものである。特に灯籠・玉垣には、全国の北前船関係者の住所と氏名が刻まれており、江戸時代から明治期にかけて北前船によって栄えた新温泉町の歴史を知る上で貴重な文化財である。
すでに新温泉町指定文化財に指定されている「船名額」「北前船航路図」「船絵馬」等の北前船関連文化財の一つとして、新温泉町指定文化財に指定し、保護する必要がある。