常夜燈
諸寄港は、東西の小さな岬に囲まれた天然の良港です。
その西側の岬を日和山と呼んでいます。昔は、村人たちがここに登り、沖を眺めて天候を予測し、魚群の見張りにあたっていたのでしょう。
廻漕業が盛んであった江戸時代から明治末にかけて、全国の上り下りの船が、風待ち、潮待ちのために諸寄に入港しました。その灯標として重要な役割を果たしたのが、日和山の常夜燈です。
正徳元年(1711)諸寄村庄屋七右衛門が豊岡藩奉行に「灯明台」設置の願書を出しています。
それによると、『諸寄から西には出雲の美保の関まで、東には丹後の伊根までの間、難風のときに船が入港するところがなく因っている。諸寄の港の入り口に「千貫くり」という岩があって、難儀をしている。「夜灯」を立てれば、方角もよくわかり、諸船が無難に入港することができる。(後略)』としました。その竿の部分に「常燈」と刻まれ、また「諸廻船問屋中」と建立者名が刻まれています。
「常燈」は「常夜燈」より古いことばなので、それだけ建立も古いのでしょう。
・建立年月日 江戸期(文化文政期頃)
・碑文 碑面 常燈
碑陰 諸廻船 問屋中
・建立者 諸寄村
|
|