39・くぐり池
多子の「字池の上」という所に、「くぐり池」と言う三畝ほどの池がある。
この池は鳥取県の「多鯰ヶ池」につづいていて、「くぐり池」で失った物が
「多鯰ヶ池」で見つかることで不思議がられていた。
その「くぐり池」の近くに住む娘がいて、あるときそこを通りがかったお坊さんを一目見て好きになり、
お坊さんも娘を心憎からず思った。
けれども、お坊さんは修業の身、とても娘と一緒になれず、娘はそれを苦しんで池に身を投げた。
ところが、お坊さんも池に身を投げた。
村人は二人を哀れんで池の端の道にお地蔵さんを祀って供養した。
「くぐり池」には、春になると、アヤメや、でべそ花という黄色い美しい花が咲く。
大雨が降っても、晴れた日が続いても池の水かさは変わらず、照来の七不思議の一つに数えられている。
※参考文献
喜尚晃子 「但馬・温泉町の民話と伝説」1984年より |
[伝説]
1)池の廻りで家族が田植えの昼食をすませ、洗いもの(飯櫃・食器)を池に浸けておき、田植えを済ませて、洗いものを探したが見つからなかった。後日、因幡の多鯰ヶ池に浮いていた。
2)村の人が数個のひょうたんを浸けていたが、いつの間にかなくなっていた。後日多鯰ヶ池に浮いていたという。
3)地区の若連中が池の中央に相撲場をつくり、明日の相撲開きを楽しみにしていたが、朝見ると一夜にして消滅していたという。
この池には、以前から珍しきコウボネ、フトイの二種類の植物が自生している。
※参考:平成12年10月多子区設置の看板より |
 | 多子の県道沿いに看板があります。 | |
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