17・古屋の悲鳴
昔、長い間、人が住まなかった、空家に化物が出るという噂が立った。
我こそはと思う連中が、だんだん行ってみたが、誰も途中で帰ってきた。
一人の男が、勇気をふるい、その空家に行ってみると、荒れ果てて、朽木(くちき)の臭いがぷんぷんする。
夜中になって、あたりがし-んとしてくると、
「落ちるわいやあ、危ないわいやあ」
と、かぼそい泣き声がするので、声の方に近づいてみると、大きな袋が天井からずり落ちそうになっていた。
「これは何だ」と、そっと下してみると、小判がいっぱい入っていた。
※参考文献
喜尚晃子 「但馬・温泉町の民話と伝説」1984年より
温泉教育研究所 「温泉町郷土読本-温泉町誌-」1967年より
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