26・雨蛙
ある蛙の家に、男の児がたった一人あった。その子は大変な甘えん坊で、
親が、
「山に行こう」
と、言うと
「いんや、川に行く」
といい、何でも親の反対ばっかりして、両親を苦しめた。
何でも反対する息子のことだから、
「川に埋めてくれ」
と、言ったらよかろうと、遺言した。
息子は、生きているうち、さんざん親不幸してしまった。
せめて遺言だけでも守ろうと親を川へ葬った。
それで雨が降ると親の墓が流されはしないかと、心配で心配で
「川、川、カワ、カワ」
と、鳴くようになった。
※参考文献
喜尚晃子 「但馬・温泉町の民話と伝説」1984年より
温泉教育研究所 「温泉町郷土読本-温泉町誌-」1967年より
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