防災シンポジウム
ジオ(地球)は、私たちに自然資源や美しくすばらしい景観をもたらしますが、時には地震、津波、洪水などの大規模な災害を引き起こすこともあります。 今後、この地域で想定される地震や津波についての正しい知識を学び、地域防災力の高揚を図るため、10月6日に浜坂多目的集会施設で、山陰海岸ジオパーク世界加盟2周年を記念して「防災シンポジウム」を開催し、地域住民など約230人が参加しました。 放送大学鳥取学習センター所長で山陰海岸ジオパーク推進協議会学術顧問の西田良平先生を講師にお招きしての基調講演やパネルディスカッションを行い、地域防災や減災への取組について意見が交わされました。 |
 | | 【基調講演】 西田先生は、「地震災害・津波災害に備えて」と題して講演。火山の噴火や波の影響で変化をとげてきた山陰海岸ジオパークの特徴を話し、本町で起こる可能性のある地震や津波の被害想定にいて次のように説明しました。
◆山陰海岸ジオパークの地震活動 関東大震災以降では、北但馬地震(1925年)、北丹後地震(1927年)、鳥取地震(1943年)の3つが、山陰海岸ジオパークの中で大きな災害をもたらした地震である。中程度の地震は、鳥取県中部の地震や山崎断層の地震、三峠 断層の地震、阪神・淡路大震災が起こっている。 新温泉町では、1949年に浜坂地震(M6.3)、2001年に兵庫県北部地震(M5.4)があり、ジオパークのエリアは、大きな地震ではなく、M5~6クラスの地震が数十年の間隔で起こる場所といえる。
◆東日本大震災と教訓 東日本大震災は津波災害が注目されているが、地震災害も起こっている。 兵庫県北部では、今後想定される四国沖の南海地震の津波被害は関係ないという意識があるが、家屋の倒壊など地震の被害を受けるということを知っておく必要がある。また、目に見えない風評被害などの社会不安も起こるので、それらへの対応を考えておく必要がある。 岩手県釜石市では、ほとんどの児童が被害を受けなかった。きちっとした防災教育がなされており、その必要性を再認識した。
◆兵庫県北部を襲う地震 ◇遠方の巨大地震 21世紀南海地震(四国沖の南海トラフの地震)は兵庫県北部への津波の心配はないが、非常に大きい長周期の揺れが訪れ、液状化現象や地盤のずれなどの被害が起こる。 南海地震は、最近では1707年、1854年、1946年と、100から150年間隔で起こっている。現在、70年近く経っているので、21世紀南海地震が起こる可能性は否定できない。東日本大震災の地震により、その可能性はより高くなっていると考えられている。
◇近くの大きい地震 これまでに北但馬地震、北丹後地震、鳥取地震などがあり、内陸の大地震はエネルギーをためるのに時間がかかる。内陸大地震がジオパークエリアで起こる可能性は小さいと推測されるが、すぐ近くの山崎断層での地震の可能性は大きいと言われている。
◇足元の中地震 これまでに浜坂地震、兵庫県北部地震があり、この中地震は繰り返し起こる。地下の状況にエネルギーがたまると地震が発生する。周期は、数十年から100年で場所があちこちに動く可能性がある。鳥取県の雨滝‐釜戸断層が次の地震を起こす可能性は否定できない。鳥取で震度6弱、新温泉町でも震度5強になるおそれがある。
◆兵庫県北部に襲来する津波 ◇日本海東縁の大地震による津波 これまでに経験があり、1983年に秋田で起きた地震(日本海中部地震)では、約2時間後、鳥取に最高約1メートルの津波が到着した。 佐渡北方沖海底地震の想定では、揺れを感じず約1時間半後に平地で最高約2メートルの津波の到着が予測される。津波到着までに時間があるので避難情報を流し、どこに逃げるかを周知する必要がある。
◇但馬地方沖の大地震による津波 地震発生後、3~4分後に平地で最高約3メートルの津波が到着し、地震災害も想定される。 津波の到着まで時間がないので、それぞれが倒壊している家屋などを避けながらの避難になる。どこにどう逃げるのか避難経路図で対応しておく必要がある。
◆災害への備え 21世紀の社会は高齢化の社会となる。一番の問題は救助活動の担い手である。また、家具の転倒対策など自分で行う「自助」、要援護者対策など地域の人と協働する「共助」で地震に備える必要がある。 今後は、「防災」という言い方より「減災」という言い方をする。災害を少なくするにはどうしたらいいか。21世紀南海地震で32万人の死者が出ると言われているが、様々な対策をすることで少なくする要素はある。災害に対し、日頃から、何を行うか考える必要がある。 |
【パネルディスカッション】 基調講演に引き続き、「自らの手で地域防災力を高めよう」をテーマにパネルディスカッションを行いました。パネラーと主な意見は次のとおりです。
◆県立大学自然・環境科学研究所 松原典孝さん ジオパークは、地域の持続的発展が要。自然災害とも共存していかなければならない。 ジオパーク活動では、災害への普及啓発活動も重要である。
◆浜坂自治区副区長 朝野健次さん 災害に一番最初に立ち向かうのは、私たち自身であり、地域のコミュニティである。 浜坂自治区では、火災に備えた消火栓の操作方法や防災マップの各戸配布、津波に備えた海抜表示などに取り組んでおり、区民の防災意識の向上に役立てばと思っている。
◆ボランティアコーディネーター 小南かおるさん 社協では災害救援の手引きを作成し職員全体で情報共有している。 東日本大震災の被災地でボランティアの入った町を見て、人の力のすごさを感じた。 本町にとって大雪は毎年起こる災害である。町内で登録いただける除雪ボランティアを育てる必要がある。
◆宮城県山元町派遣(役場総務課) 福井崇弘係長 震災直後、山元町の坂元地区では、被災を免れた住民が米や野菜を持ち寄って自ら炊き出しを行うなど、十分な支援が届かない中でも自主防災組織が参画して避難所を運営していた。災害時に最初に機能するのは自主防災組織であり、その役割は大きい。 |
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