新温泉町
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8・烏と梟

悉皆屋に、ある大名の家来が、白絹を持ってきて、
「十日ほどしたら、お殿さまが江戸へ上らっしやる。それまでに、これを紋服に染め上げてくれ」
というので、
「必ず仕上げます」
と主人がかしこまって約束した。

悉皆屋が絹を練って乾しているところへ、いたずら者の息子が、さらしてある絹に泥を投げつけて、
どうにもならんほど汚してしまった。

ところが運悪くその翌日から雨になって、二日たっても三日たっても
雨は止まず、とうとう約束の目に納めることが出来なくて、悉皆屋は気の毒に打首になってしまった。

さすがいたずら者の息子も後悔して死骸に取りつき泣いていると、近所の餓鬼らが寄ってたかって石を投げたりしていじめた。
あんまり泣いたので、息子は梟になってしまい、囃していじめた餓鬼らは腹黒の烏になってしまった。

それで梟は今でも前非を悔い、あくる日が天気になるときは、
「糊つけ干せ」
と鳴き、雨のときは、
「泥つけ干せ」
と泣く。

烏になった餓鬼らは、今でも薄汚いぼろを着て、秋はくされ柿食って、昼、梟が居るのを見ると、
ギャアギャア鳴きながら梟にいじわるするという。

 ※ 悉皆屋(しっかいや)=江戸時代、大阪で衣服・布吊の染色・染返しなどをうけおい、これを京都に送って調製させることを業とした。

※参考文献
 喜尚晃子 「但馬・温泉町の民話と伝説」1984年より
 温泉教育研究所 「温泉町郷土読本-温泉町誌-」1967年より

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