新温泉町
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こちら町長室(広報しんおんせん令和5年12月号掲載)

2023/11/22

◆但馬牛と農業
 7月6日、「人と牛が共生する美方地域の伝統的但馬牛飼育システム」が世界農業遺産に認定されました。
 旧温泉町では、昔から多くの農家が冬は神戸や京都、奈良、広島、岡山など全国各地の酒造会社に杜氏や蔵人として出稼ぎをしていました。そして、出稼ぎが終わると春から秋にかけて、米作りなどの農作業を行っていました。大半の農家が牛を飼い、田んぼの荒おこしなどの農作業に利用しながら、子牛を牛市で売ることで一家の生計を立てていました。
 記録では、平成2年の畜産農家は347戸で飼育頭数は1149頭、販売額は約5億5千万円でした。合併した平成17年は畜産農家108戸、繁殖牛884頭、販売額約2億7千万円。令和5年3月末は畜産農家45戸、繁殖牛762頭、販売額約3億3千万円でした。この33年間で農家数は約8分の1に減少、頭数は3割減少、販売額は4割減少しました。しかし、1戸当たりの年間平均販売額は平成2年度が181万円に対し、令和4年度は733万円となります。高齢化の影響もあり、2、3頭などの少頭飼い農家が減り続ける一方で、多頭飼いの農家が増えていることがわかります。

◆牛の価格
 現在の美方郡の子牛価格は、平均約70~80万円で販売され、子牛市場で日本一高い価格(全国平均価格は約50万円)で取引されています。現在、ロシアによるウクライナ侵攻や円安によって飼料が大きく値上がりしていますが、今後は地域内の資源を活用した循環型農業を進めていく必要があります。

◆但馬牛研修センターとアパート牛舎
 平成30年、かつて県の畜産試験場があった中山牧場で、新たに但馬牛の生産に取り組もうとする者の実習施設として但馬牛研修センターが完成しました。
 また、畜産農家の経営の拡大・振興を図るため、アパート牛舎の建設を行い、令和元年に38頭牛舎2棟が完成しました。現在、丹土地区で40頭牛舎2棟の建設に向かっています。

◆世界農業遺産の保全と活用
 国は農業を守るために、各集落に集落営農をすすめ、農地の保全に取り組んでいます。中山間地域等直接支払制度や多面的機能支払交付金もありますが、米価の下落や肥料の値上がりなど厳しい状況が続いています。牛を飼うには、牛糞の処理や臭いの問題、毎日の餌やりなどがあり、家族のみでは負担が多く、以前のように続けるのは困難です。
 しかし、世界農業遺産の保全と活用には、畜産農家の減少に歯止めをかけて農家数を増やすなど、すそ野を広げる施策が必要です。そこで考えられるのは、集落営農の畜産版、もしくは、複数農家による畜産経営です。「米作り+畜産経営」でもう一度農業を見直す必要があります。もちろん、町としても全力で後押しさせていただきます。


新温泉町長 西村銀三

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